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親子間でも贈与税がかかる3つのケース

カテゴリーコラム
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親子間でも贈与税がかかるなんて、あまりピンとこない方もいるでしょう。しかし実際には、親が子にお金や財産を渡しただけで「課税されるかもしれない」と考えると、不安を感じるかもしれません。

子どものために使わせたいと思っていた教育資金が、ちょっとした手違いで贈与扱いとなり、多額の税金を支払うことになったら困るはずです。

さらに、不動産や車といった高額な財産をスムーズに渡したいと考える家庭も多いと思いますが、その名義変更がきっかけで課税対象になることも珍しくありません。

そこで本記事では、親子間のやりとりでも贈与税がかかりやすい具体的なケースを3つ取り上げます。それぞれの注意点を理解しておくことで、余計な税負担を回避しつつ大切な家族のサポートを円滑に行いやすくなるでしょう。

親子間でも原則贈与税はかかる

たとえ親子間の援助であっても、原則贈与税がかかります。ただし、扶養義務者間で生活費や教育費が通常必要な範囲内なら非課税となり、確定申告も不要です。

例えば家賃や食費、医療費、授業料などは日常生活において一般的に必要と判断されやすいです。一方、高額な資金の一括移転や用途不明の支払いは、贈与とみなされ課税リスクが生じるかもしれません。

実際に税務署の調査が入る場合もあるため、大きな額を動かす際は領収書や振込記録をきちんと保存しておくことが大切です。

親子間でも贈与税がかかる3つのケース

贈与税は「大きなお金を子や孫へ渡すときだけ」と思われがちかもしれません。しかし、日常生活の中でも親子間のやりとりが贈与にあたる場合があります。

特に注意したいのが、教育費や名義変更、車の譲渡といったシーンです。ここでは、親子間でも贈与税がかかりやすい3つのケースを簡潔に見ていきましょう。

①教育費を別の用途で使う

親が子どもの学費や塾代を負担するときは、基本的に贈与税がかかりません。なぜなら、教育費の贈与は非課税とされているからです。

しかし、子どもの口座へ教育資金をまとめて振り込み、それを別の用途へ回してしまうと、贈与とみなされ課税対象になるリスクがあります。

たとえば、塾代に使う予定だったお金をスマートフォンや遊び代に流用してしまうケースは要注意です。後から税務署に指摘され、高額の贈与税を支払う羽目になる可能性も否定できません。

以下に、教育費の贈与で気をつけたいポイントをまとめました。

  • 教育費用は親が直接支払うこと
    (学校や塾へ振り込むほうが安全)
  • 使い道が教育関連と証明できるよう領収書を保管すること
    (必要に応じて提出を求められる場合があります)
  • 余った資金を子ども名義で貯蓄するときは贈与税の課税リスクを把握する
    (あくまで教育費に充てる前提が大切)

こうした基本を押さえておけば、意図しない税負担を避けやすくなるでしょう。

②不動産の名義を子どもに変えた

不動産の名義を親から子へ変更すると、財産が実質的に子どもへ移転したとみなされる場合があります。その結果、贈与税の対象になる可能性があるでしょう。

一般的に、親が生きているうちに不動産の所有権を移転する行為は「生前贈与」と見なされます。固定資産税の負担や管理を減らす目的で名義変更をする例は珍しくありませんが、手続きを誤ると高額な贈与税を請求されるリスクがあります。

特に、不動産の評価額が高いと、多額の税金が発生して子どもが支払えなくなる恐れもあるでしょう。そこで、名義変更の前に以下の点を確認しておくことが大切です。

  • 親が所有する不動産を子名義にする理由を明確に整理する
    (節税以外の妥当な事情があるか検討)
  • 名義変更時に発生する諸経費(不動産取得税や登録免許税など)も把握しておく
    (贈与税以外にも費用がかかる)
  • 一定金額以上の贈与は専門家(税理士など)の助言を得る
    (複雑な計算や申告方法を確認しておく)

安易な判断で名義を変えずに、必要な準備や手続きを整えることが重要です。

③親の車をもらった

親が所有している自動車を子どもに譲るときも、場合によっては贈与税が課されることがあります。車は不動産ほど評価額が高くないとはいえ、高級車や新しい車種など市場価値が高いと非課税枠を超えてしまう可能性があるでしょう。

名義移転の前後で必要となる手続きを確認し、以下の点を検討しましょう。

  • 車の時価や中古車販売店での下取り相場を調べる
    (贈与税の計算基準となる評価額を把握)
  • 自動車税や保険料の支払い者を明確に決める
    (譲渡後も親が負担していると贈与とみなされる場合あり)
  • 贈与になるか専門家に判断を仰ぐ
    (車の評価額や状況によって課税の有無が変わる)

これらを踏まえ、想定外の税金を払わずに済むよう備えたいところです。

まとめ

親子間の贈与税を避けるためには、まず教育費の支払いや高額財産の名義変更が思わぬ課税対象になる点を理解しておく必要があります。

例えば、教育資金を子どもの口座にまとめて入れた場合、実際に学費以外に使われれば贈与とみなされやすいでしょう。不動産や車といった大きな財産でも、生前に名義を移すことで贈与税がかかるケースがあります。

こうしたリスクを知らずに手続きを進めると、後から税務署に指摘され、高額な税金を支払わなければならない可能性があるかもしれません。

何より、親子の善意であっても税制上は厳格に判断されるため、事前に情報収集や専門家の相談が不可欠です。年間110万円の基礎控除を超える贈与には申告や納税義務が生じるため、早めの対策も大切でしょう。

また、家族間の協力や思いやりが税務上どのように扱われるのか、知っておくことが肝要です。