認知症の親がいると、どんなお金の問題がある?
認知症は高齢化が進む日本で増加している病気のひとつです。
もし親が認知症になった場合、家族には思わぬお金のトラブルが降りかかることがあります。
たとえば、銀行口座が凍結されて生活費が引き出せなくなったり、高額な介護費用を立て替えたりする必要が出てくるケースもあるでしょう。また、生前贈与や遺言書が無効になることで、相続の手続きが複雑化することも。
こうした問題を放置すると、家族の経済的負担が大きくなるだけでなく、親の希望を実現できなくなる可能性が高いです。
そこで本記事では、認知症の親がいると発生しやすいお金のトラブルと、それを回避するための具体的な対策をわかりやすく解説します。
認知症の親がいると発生するお金のトラブル4選
認知症になると、銀行口座の凍結や介護費用の立て替え、生前贈与や遺言書の無効化など、家族にさまざまな金銭的問題が生じます。
具体的には下記4つです。
- 銀行口座が使えなくなる
- 介護費用を家族が立て替える必要が出てくる
- 生前贈与ができなくなる可能性がある
- 遺言書が書けなくなる
それぞれ早速みていきましょう。
1. 銀行口座が使えなくなる
認知症になると、親名義の銀行口座が凍結されることがあります。親の財産が第三者によって悪用されるのを防ぐための措置です。
しかし、この影響で家族が生活費や医療費を引き出せなくなり、困ることも多いです。特に認知症の診断後に親の意思確認ができなくなると、家族が勝手に手続きすることは難しくなります。
事前に成年後見制度や任意後見契約を利用しておくことで、家族が正式に財産管理をできる体制を整えることが大切です。
2. 介護費用を家族が立て替える必要が出てくる
認知症の進行に伴い、医療や介護にかかる費用が増えていきます。長期間の介護が必要な場合、その額はさらに増加します。
特に親の銀行口座が凍結されてしまうと、介護費用を一時的に家族が立て替えなければならないケースも。このような状況に備えて、介護保険や公的な支援制度の利用を検討することが重要です。
また、介護が必要になる前に、資金計画を立てることも効果的。家族全員で話し合い、経済的負担を分散させることで、無理なく介護を続けられる環境を作りましょう。
3. 生前贈与ができなくなる可能性
認知症が進行すると、親が自分の意思を明確に伝えられなくなり、生前贈与が無効になる場合があります。
贈与契約は、本人が「この財産を贈りたい」という意思を示すことが前提です。そのため、判断能力が低下している場合、「贈与の意思があったかどうか」が問題視されることがあります。
認知症になる前に、計画的に生前贈与を進めることが大切。贈与税の節税効果も期待できるため、早めの対策が重要です。
また、弁護士や税理士などの専門家に相談し、法的にも正確で安心できる手続きを行うことで、親の希望を確実に実現させましょう。
4. 遺言書が書けなくなる
遺言書は、親が財産をどのように分けるかを決める大切な書類です。しかし、認知症によって判断能力が低下すると、作成した遺言書が無効とされることがあります。
「親の意思がしっかり反映されたものか」が問われ、無効とされると相続がスムーズに進まず、家族間で争いが起こる原因になることも。これを防ぐためには、認知症になる前に遺言書を作成しておくことが重要です。
公証人の立ち会いを得て遺言書を公正証書にすることで、法的にも強い効力を持たせることができます。早めの準備が、親の希望を確実に反映させるためのポイントです。
まとめ
認知症の親を抱えると、銀行口座の凍結や介護費用の負担、生前贈与や遺言書の無効化など、多くのお金の問題が生じます。
しかし、認知症トラブルは事前の準備と適切な手続きによって回避することが可能です。成年後見制度の利用や専門家への相談、早めの遺言書作成や資金計画などが、家族の負担を軽減し、親の希望を確実に叶える鍵となります。
認知症は突然訪れるものですが、早期に対策を講じておけば安心して未来を迎えることができるでしょう。