家族の平和を守る!資産相続で知っておきたい公正証書の活用法
カテゴリー相続税対策
資産相続は、家族間の緊密な絆に亀裂を入れる可能性があるデリケートな問題です。
特に、家族内に対立がある場合、公正な資産分配は感情の衝突を引き起こしやすくなります。このような状況を避けるためには、適切な準備が不可欠です。
公正証書遺言は、家族内の対立を避けるための準備の一つとして非常に有効な手段であり、家族の未来に平和をもたらす重要な役割を果たすでしょう。
今回は、公正証書遺言を通じて、家族間の対立を防ぎながら資産を守る方法について掘り下げていきます。
ご相談内容
相談者の家族構成は以下の通りです。
- 父(85歳):自宅の60%(評価額6,000万円)、終身保険1,000万円、預金500万円を所有。
- 母(81歳):保有資産なし。
- 長男(55歳):父から贈与された相模原の自宅(評価額3,500万円)を所有。
- 長女(51歳):自宅の40%(評価額4,000万円)を所有、両親と同居。
長女は、父の自宅の大部分と保険金が長男から要求されることに懸念を抱いています。
課題
家族内での財産分配を巡る対立は、しばしば感情的な争いに発展し、関係の悪化を招きかねません。
長男はすでに過去に父からの贈与である自宅(評価額3500万円)を受け取っており、この事実が今後の相続問題にどのように影響するかが問題です。
解決策
公正証書遺言を作成して家族の資産を守るための具体的なステップをまとめました。
- 遺言の作成:父が長女に自宅の60%(評価額6,000万円)を継承させ、残りの財産を母に相続させる内容の遺言を公正証書で作成。
- 特別受益の考慮:長男が過去に受けた3,500万円の贈与(特別受益)を相続財産の計算に含める。
- 父の総資産は1億円、長男の遺留分は1250万円(1/8)。長男は既に3500万円の特別受益を請けている為、長女が自宅の6割分を相続しても、遺留分は発生しない。1250万円(遺留分)<3500万円(特別受益)
- 資産の明確な分配:遺言によって長女と母の相続分が明確にされ、長男からの追加請求を防ぐ。
結果
遺言書により、長女は自宅の60%を確実に相続し、母は保険金と預金を受け取りました。
この結果、長男からの追加請求は発生しませんでした。
まとめ
適切に計画された公正証書遺言は、相続における争いを減少させる効果的な手段です。
特に、家族内に対立がある場合、法的な保護と明確な指示が後のトラブルを防ぎ、家族の和を保つために非常に重要です。
相続は個々の家庭の事情に深く影響されるため、専門家の助言を得ながら慎重に進めることがおすすめします。